スマートグリッドとは「次世代送電網」とも呼ばれる次世代のエネルギー供給システムのことです。発電から消費までのデータ通信をデジタルで制御し、電力の需要と供給のバランスを取ることで送電ロスを減らして電力の安定供給を実現します。さらに再生可能エネルギーの有効利用や省エネルギーも実現できます。
この構想はアメリカのオバマ前大統領が「グリーン・ニューディール政策」の中で宣言することによって人々に知られるようになりました。その後、EU(欧州連合)、中国をはじめとするアジア諸国、中南米や中東、アフリカなど世界各国でも導入の機運が高まりました。
しかし、その当時の日本は発・送配電系統の整備と信頼性に絶対の自信を持っていました。日本の次世代のエネルギー供給システムの捉え方は、太陽光発電などの再生可能エネルギーを安定的に供給できる体制を整えるということに限られていました。
ところが、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故が電力の安定供給を根本から揺るがしてしまいました。早急に次世代のエネルギー供給システムを導入して節電、節エネルギーに向けた体制を構築する必要に迫られています。
この体制を構築するのに欠かせないのがエネルギー管理システム(EMS)です。その中で商用ビル向けのシステムをBEMS(ベムス)と呼んでいます。
ビルの電力、温度、照度などの各種センサーからの情報を集めて可視化し、空調や照明などの機器を制御することで省エネを実現するシステムです。