経済産業省 資源エネルギー庁は平成25年、「エネルギー使用の合理化等に関する法律」(いわゆる「省エネ法」)を改正しました。
以前から、日本はCO2排出削減などエネルギー効率の向上に向けて積極的に取り組んでいましたが、2011年に起きた東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故以来、日本の電力需要は、毎年、夏場には特に逼迫している状況となっています。
このような背景から、企業や住宅・建物の設備を維持するためのエネルギー効率をできるだけ上げるような対応が必要であると判断した資源エネルギー庁は、「省エネ法」を改正したのです。
改正「省エネ法」の主な改正点は、
「電力の需要と平準化の推進」と「トップランナー制度の建築材料等への拡大」の2点です。
「電力の需要と平準化の推進」では、電気の需要の標準化時間帯が夏季(7月~9月)と冬季
(12月~3月)の午前8時から午後10時までと全国一律で設定されました。
また、大規模な電力が必要となる工場等が効率的な電力使用を行えるように取り組むべき指針が策定されました。
「トップランナー制度の建築材料等への拡大」では、トップランナー制度の新たな対象物として、断熱材が指定されました。具体的には、グラスウール、ロックウールなど、断熱効率が高い断熱材がトップランナー制度認定の断熱材となっています。
改正前の省エネ法で問題にしていたのはCO2を排出したりエネルギーを消費したりする機械の性能でした。具体的には、より省エネ性能の高い機械に対して補助金をつける等によって、社会全体の省エネを推進しようと取り組んできました。
しかし機械の性能だけが省エネを考える上で重要である訳ではありません。
改正省エネ法ではそれ以外に、
①電力消費の時間帯をできるだけ平準化させること と、
②従来のエネルギーを消費する機械器具のほか、建築材料などの利用による省エネを法律によって取り決め、より省エネ効果を高める取組を促進することを目的としています。
まず①について、電力消費のピークは一般に工場やオフィスでは昼間であるため、このピーク時間をずらして電力の消費を平準化しようという技術が注目されています。例えば深夜の電力量を利用してあらかじめ冷暖房に使う冷気を蓄えておく方法などです。
また②においては、壁に断熱性能を持たせることも義務付けられています。 省エネ法では企業単位での省エネが求められます。具体的には燃料に換算して1500kl以上の電力消費を行っていると規制の対象になります。これは金額にして1億円程度です。この基準を超えると1%以上の省エネを求められ、書面による報告の義務を負うことになります。
また個人の住宅であっても建物の壁には断熱性のあるものが義務付けられるため、
伝統的な白壁の家などの建築に制限ができるかもしれないと懸念されてもいます。